「私たちの幸せな時間」 愛情とは関心なのだ!
韓国でベストセラーとなり ラブストーリーとして映画化。
現在 日本でも上映されているが 原作は・・・・・
韓国の女性作家 孔 枝泳さんの作品を
拉致被害者の (あえて そう書かせてもらいます)・・・蓮池薫さんが翻訳されている。
死刑廃止の是非が作品の重いテーマの一つになっているが
・・・・・ それは ともかく 主人公のひとりは 若い女性 ムン・ユジョン。
彼女は 大学をでて フランスに留学し 歌手だったこともあり
今は 画家であり 教授である。
社会の上流に属す人が 実は そこに棲む両親 一族に傷つけられ
自殺を繰り返し・・・・・ それでも 一族の上流の枠から 逃れられず苦しむ主人公。
現代を生きるこの若い バランスの悪い女性の心のゆれが
とてもよく書き込まれていて 感心しました。
作品は ふたりの主人公 女性と死刑囚のふたつのモノローグが
交互に展開される構成になっているが
女性の文中に ハッとさせられるセンテンスが いくつも出てくる。
たとえば 「世の中に存在する本当の話と嘘の話」
彼女を取り巻く世界が いかに虚飾に満ちているかが 想像できる・・・・。
もうひとりの 主人公 ・・・・ 死刑囚の若い男性に関しては
実際は 殺人の手を下してはいないのに
仲間の嘘の自白で 死刑になっている・・・・ という設定だ。
もし この本で 作者が 死刑廃止を訴えるならば・・・・・・
欲をいえば 本当に徹底した犯罪者でいて欲しかった気もする。
そして そういう意味では 今日日本の中で 注目を集めている犯罪
(多数の弁護団で 死刑を取り消そうとしている事件)
と 並べて考えることは 出来ない。
作品のなかで とても 印象に残った言葉。
悟ろうとする人生は 相手に対する憐れみなしには 存在しないことになる。
憐れみは 理解なくして 存在しないし
理解は 関心なくしては 存在しない。
愛情とは つまり 関心なのだ。
「分からない」 という言葉は 免罪の言葉でもなんでもなく
愛情の反義語だ。 (作品から抜粋)
今だ解決しない拉致問題・・・・。
拉致被害者の蓮池さんは 作品にちりばめられた このような言葉を
どんな思いで訳されたのか・・・・。
そう考えると 私の勝手な深読みかもしれないが
何度も胸がつぶれる思いがしました。
そして 作者の原文は 勿論優れているものでしょうが
それを 余すことなく 無駄のない美しい日本語に蓮池さんは訳されています。
・・・・ 訳者あとがきを読むと
蓮池さんは 私の想像を越えた 数段うえの 淡々とした境地におられるようだ。
人にもっと 関心をもつこと ・・・・・・・ そして愛情をもつこと
私にも 今の日本の人々にも ・・・・・・ それがきっと 足りないのでしょうね。
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