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2007年8月 8日 (水)

「私たちの幸せな時間」 愛情とは関心なのだ!

韓国でベストセラーとなり ラブストーリーとして映画化。 

現在 日本でも上映されているが 原作は・・・・・ 

韓国の女性作家 孔 枝泳さんの作品を 

拉致被害者の (あえて そう書かせてもらいます)・・・蓮池薫さんが翻訳されている。

死刑廃止の是非が作品の重いテーマの一つになっているが

・・・・・ それは ともかく 主人公のひとりは 若い女性 ムン・ユジョン。

彼女は 大学をでて フランスに留学し 歌手だったこともあり

今は 画家であり 教授である。

社会の上流に属す人が 実は そこに棲む両親 一族に傷つけられ

自殺を繰り返し・・・・・ それでも 一族の上流の枠から 逃れられず苦しむ主人公。   

現代を生きるこの若い バランスの悪い女性の心のゆれが

とてもよく書き込まれていて 感心しました。

作品は ふたりの主人公  女性と死刑囚のふたつのモノローグが

交互に展開される構成になっているが

女性の文中に ハッとさせられるセンテンスが いくつも出てくる。

たとえば 「世の中に存在する本当の話と嘘の話」

彼女を取り巻く世界が いかに虚飾に満ちているかが 想像できる・・・・。

もうひとりの 主人公 ・・・・ 死刑囚の若い男性に関しては

実際は 殺人の手を下してはいないのに 

仲間の嘘の自白で 死刑になっている・・・・ という設定だ。

 もし この本で 作者が 死刑廃止を訴えるならば・・・・・・

欲をいえば 本当に徹底した犯罪者でいて欲しかった気もする。

そして そういう意味では 今日日本の中で 注目を集めている犯罪

(多数の弁護団で 死刑を取り消そうとしている事件)

と 並べて考えることは 出来ない。

作品のなかで とても 印象に残った言葉。

    悟ろうとする人生は 相手に対する憐れみなしには 存在しないことになる。

    憐れみは 理解なくして 存在しないし

    理解は 関心なくしては 存在しない。

    愛情とは つまり 関心なのだ。

    「分からない」 という言葉は 免罪の言葉でもなんでもなく

    愛情の反義語だ。          (作品から抜粋)

今だ解決しない拉致問題・・・・。

拉致被害者の蓮池さんは 作品にちりばめられた このような言葉を

どんな思いで訳されたのか・・・・。

そう考えると 私の勝手な深読みかもしれないが

何度も胸がつぶれる思いがしました。

そして 作者の原文は 勿論優れているものでしょうが

それを 余すことなく 無駄のない美しい日本語に蓮池さんは訳されています。

・・・・ 訳者あとがきを読むと

蓮池さんは 私の想像を越えた 数段うえの 淡々とした境地におられるようだ。

人にもっと 関心をもつこと ・・・・・・・ そして愛情をもつこと

私にも 今の日本の人々にも ・・・・・・ それがきっと 足りないのでしょうね。

 

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2006年11月11日 (土)

天使のナイフ (薬丸岳) を読んで

_779  2005年度 江戸川乱歩賞 受賞。

 選考委員が満場一致で推したというのも 納得する大作。

 よく ここまでと想うほどの 緻密な構成で 読み応えは充分。

ある日 突然幼い子を残して 殺された妻。

捕まえた犯人は 数人の少年だった・・・・。

その少年たちが 次々と殺されてゆく・・・。

いるところに 張りめぐらされた伏線。

現在 話題になっている 「少年法」 の問題点を 被害者側の視点は勿論

加害者側の視点にも立ち 考えていくストーリー。

この見事な書きっぷりにひたすら 驚きながら 337ページの

長編を一晩で読んでしまった。

謎解きも よく考えられていて けして退屈しない。

これが 新人の作品かと ただただ感心しました。

派手さはないが こつこつと積み上げられたストーリーに

エンターテイメントとしての 実力もうかがえるし 

また社会派ミステリーとしての 格調の高さもあった。

久しぶりに 破綻のない誠実な推理小説が楽しめました( ^~^ )V

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2006年6月17日 (土)

クローズド・ノート

雫井脩介のクローズド・ノートを 昨夜一晩で読んでしまった。

雫井の作品は 何冊か読んでいるので この人の作品にある

ゆるやかな体温を感じながら 読んだ。ナイーブな女の子のような・・

作品の進行とは あまり関係がない 万年筆のことが 異常に

詳しく書かれていてすごく面白かった!

引き出しの隅で眠っている モンブランの万年筆を思い出した。

買ってすぐに インク漏れしたし とうとう手に馴染まなかった。

私も<今井文具堂>で買っていたら もっと万年筆を

愛せただろうに! 紀伊国屋め!!!だけど万年筆 欲しくなったなあ・・

さて 物語を読んでて 違和感が一つだけあった。

<伊吹賞> て いやだなあ。  こんな賞 クラスにあったら こどもの

負担になるのと ちゃう?   賞 もらうために テンション高い子は

なんでもするよ。 低い子は どんどん脱落していくと思う。

<心の力>て そんなにいつも要求されてたら 疲れてちゃうよ!

そんな気がして 読んでてザラッとした。

泣き虫の私は いつ泣くかな・・と思いながら読んだけど ナカナカ

うるうる こなかった。 早い段階で筋が読めちゃったからかな・・

でもね 筋が割れてたって 泣くものは 泣く!

天然ぼけの香恵ちゃんのキャラも愛せたし (作者の近くにこんな人

実在するんじゃないかな) らくに読み進んだ。

いよいよクライマックス。  香恵の伊吹先生の言葉を伝える場面で

うるうるきだした。 でも 長すぎて え!まだ続くの?と思ったら

涙も引っ込んだ。 そして 最後マンドリンがない のには 驚いた!

想定外で かたすかしをもらった感じ。

ええ・・これで終わり? だから伊吹先生の言葉が長かったの?

本を閉じようとして もう一ページあることに気付いた。

もう! 泣いてしまいました。  作者に触れた! 

心のこもったコース料理をいただきました。 最後のページで

ごちそうさま m(___)m でした。

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